甘草(かんぞう)という生薬があります。
漢方薬のほとんどと言っていいほど多くの処方に配合されています。
また、化粧品や甘味料としても 広く利用されています。
この甘草は 内モンゴルに自生しており、その汎用性から乱獲され、不法伐採が横行し、砂漠化が広がった要因の一つと言われています。
私がこのことを初めて知ったのは まだ薬剤師になる前のことで、とてもショックを受けた記憶があります。
現在 日本で医薬品として使われている甘草は 未だ野生品の資源に依存しており、砂漠化防止のために採取が厳しく制限されています。
栽培化も進められていますが、日本の医薬品の規格(日本薬局方)に適合する品質の安定供給には至っていないようです。日本でも研究されているので、国産化が進むことに期待しています。
生薬は地球の恵みです。
生薬も含め、薬は地球の大切な資源を利用させていただいているということを、どのように捉え、今後どのようにしていくことが正しい道なのか、漢方薬に携わる身として考えていかなければならないと思っています。