気温が30度超える日も出てきて、湿度も高く、熱中症だけではなく食中毒の発生件数も増えてきました。
日本での食中毒発生件数は、梅雨の時期が最大のピークで、夏の間多く発生します。(食中毒自体は一年中なにかしら発生しています)
予防の原則は
①食品に食中毒の原因となる細菌(注1)を付けない
②細菌を増殖させない
③細菌を死滅させる
この3つになります。
そのために必要なのが、
①清潔
②温度管理(冷蔵および加熱)
③迅速(食品の放置時間や調理完成後から食事までの時間など)
家庭で出来る食中毒予防の6つのポイント(HACCP)というのが厚生労働省から発表さてれいますので、ご興味のある方は読まれるとよろしいかと存じます。
その中で、特に大事だと思うものは
①調理前と調理中の手洗い
②しっかり食品を加熱すること。特に、肉・魚・卵。
③作ったらすぐに食べること。作ったものを長時間室温に放置しないこと。テイクアウトでも、できる限り2時間以内を目安に食べること。(万全を期すなら20分以内が良い)
これは、先に述べた清潔・温度管理・迅速を言葉を言い換えただけですが、つまり、予防はこれに尽きるということです。
細菌の特性上、食中毒を100%防ぐことは非常に難しいです。炭になるまで徹底的に高温で加熱すれば細菌は死滅しますが、食事としては成り立ちませんよね。
冷蔵庫に入れても、増殖が緩やかになるだけで なくなるわけではありません。冷凍しても一時的に活動が停止するだけで、温度が戻れば また活動し始めます。
加熱しても、大体の菌は死滅しますが、芽胞形成菌(注2)と呼ばれる種類の菌はカラのようなものに閉じこもり、休眠状態のようになり、熱に強く、増殖しやすい環境になると再び活動を再開します。真空パックのようにして空気を抜いても生きられる菌もいます。
食事として美味しく調理するという条件の元、食中毒予防を両立するのは衛生管理に対する細やかな努力が必要になってきます。
100%防ぐことが困難でも、3原則を守り、限りなく100%に近づけることは可能です。
感染予防で手洗いが大事だと言われてきましたが、食中毒予防でも同じです。
調理中や、食事中に、食中毒原因菌が入らなければ食中毒にならないのは当たり前ですから、手洗いがいかに大事か、ご理解いただけると思います。
安全に食事を楽しみましょう。
そして、しっかり食べて健康にお過ごしください。
以下、蛇足の説明。
(注1)食中毒の原因となるものは細菌のほかにもウイルスや寄生虫、テトロドトキシンなどの自然毒、アフラトキシンなどのカビ毒など多数ありますが、代表して細菌類について書いています。
(注2)芽胞形成菌の芽胞(カラのようなもの)は熱で壊れないのなら、加熱処理しても無駄じゃないかと思われるかもしれませんが、これらは基本的に食中毒の原因となる時、菌自体ではなく、菌が産生する毒素が原因になります。そして、その毒素は加熱(80℃で30分、または100℃で数分以上)することで壊れます。調理後出来るだけすぐに食べたほうが良いというのは、こういう理由もあるのです。
参考文献:食品衛生学 第三版 川城巌著・菅家裕輔改編 光生館