旧暦の8月1日が『八朔』
「朔(さく)」とは
月の満ち欠けにかかわる言葉で「新月」をさします。
旧暦では新月が現れる日がその月の最初の日、月初めとしていますので、一日を「月立ち(つきたち)」と呼び、転じて「ついたち」と呼ぶようになり「朔日(ついたち)」の字を使うようになりました。「朔」この文字1文字だけでも「ついたち」と読みます。
「八朔(はっさく)」とは
旧暦の「8月1日」を意味します。新暦になおすと、8月下旬から9月下旬ごろになります。
八朔は三大厄日のひとつにもあげられています。
三大厄日とは 農家にとって注意が必要な日です。
二百十日 は、立春から数えて210日目 2019年9月1日
二百二十日 は、立春から数えて220日目 2019年9月11日
八朔(はっさく)は、旧暦の8月1日のこと 2019年8月30日
今年は秋雨前線の停滞で豪雨の地域がありますが、ちょうど台風や嵐が増える時期と重なります。台風の襲来で、春から大切に育ててきた稲に甚大な被害が出てしまう恐れがあります。
台風や嵐の風で稲が倒れてしまうと、収穫量が減ってしまいます。
江戸時代には米は藩の大切は資産、すこしでも穀高が減れば御家の大事になります。そのため農民に注意喚起を呼びかける意味で暦の中に雑節が加えられました。
ただし八朔に関していえば、「豊作を願う」という意味の方が強いようです。
八朔祭
◆熊本県上益城郡山都町(やまとちょう)
◆山梨県都留市
◆茨城県大洗磯前神社
他、関西では多くの神社で八朔祭が催されます。
くだもの「はっさく」のおはなし
「はっさく」は偶然発見された新品種で広島県因島(いんのしま)が発祥の地です。
「はっさく」という名称も、お寺の住職のある勘違いがもとになっているという、偶然が重なって生まれた果物です。
発見されたのは万延年間(1860年ごろ)、因島市にある恵日山浄土寺の境内で偶然実生した果物が見つかりました。食べてみると独特の風味でおいしかったそうです。こうして寺の境内で新しい交配種が誕生しました。
ブンタンに別の柑橘類の遺伝子が混ざった雑種と考えられていますが、詳しいことは不明。
「はっさく」という名前の由来は
明治時代に入って、発見された恵日山浄土寺の住職小江恵徳上人が「八朔になったら食べられる」と言ったことから「八朔」と呼ばれるようになったと伝わっています。
ただし、実は八朔の出荷時期は8月ではなく1~4月です。
なぜ住職は「8月になったら・・」と言ったのかなぞが残りますが、
勘違いが生んだ名称なのかもしれませんね。